株式会社CANVASです。
先日、大手旅行代理店のIT部長を勤めておられるH様の基幹システムの短期間での立ち上げ成功に関する講演を聞く機会に恵まれました。
H様は全く畑の違う部署からIT部に配属となり、ご自身もシステムはもちろん家電製品の説明書を読むのも苦手な程だったそうです。
IT部へ配属と同時に「新システムを短期間立ち上げよ」との任を受け、8年近く使用されてきた現行基幹システムに代わるものとして、約10ヶ月の開発期間で新基幹システムの立ち上げに成功しました。システムは現在グループ会社を含む数社で利用されているそうです。
成功のポイントとして、下記の点を挙げていました。
・プロジェクトメンバー
@主要メンバー召集には、以前のシステム導入時のメンバーは極力避けた。
理由:今のやり方を新しいシステムに置き換える発想を止めるため。
A各部門(システム・営業・経理・支店)からのメンバーで構成し10〜15名の少数で
スピード感のある決定を行える体制とした。
・ベンダー選定
技術力、信頼性、パッケージソフトの基本機能とカスタマイズへの対応力、導入費・運用費を重視
・操作教育
全国100ヶ所ある拠点のうち7ヶ所で集合教育を実施し、全員ではなく各部署の数人へ繰り返して
操作研修を行い、社内の先生を通して操作教育を展開した。
・立ち上げ直後の混乱への対応
ある程度の割りきりが必要、どんなに準備していてもシステム入れ替えに大小を含めて問題は
発生するものである。但し、システム導入の目的を見失わないことが重要
・ベンダーとのコミュニケーションが重要
業界用語の理解等。
そして、講演後立ち話でしたが、H様ご本人と直接お話することができたので、
「ベンダーとのコミュニケーションが重要」という点について、具体的にどのような方法と取られたのか質問したところ、
H様はベンダーのSE・プログラマーに旅行業界固有の用語・呼び方、業界の常識と呼ばれる商慣習や業務の進め方を理解してもらうため、要件定義の打ち合せはもちろん、ベンダーとの食事や飲み会の場でも、ともかく話題にして話すことを心がけ実践したとのことです。
例えば、1部屋に宿泊できる人数の呼び方から、予約締め切り日(宿泊手仕舞い日)のカウント方法、キャンセル料の発生するケースの違い・・・等の旅行業界の慣習について、システムに直接関係ない部分も含め出来る限り話すようにしたとのことでした。
私も、鉄鋼業には独特の業界用語・商習慣があり、鉄鋼業・コイルセンターでは当たり前のこととなっている業界の常識と呼ばれるものが多くあり、ベンダーの業務理解度によってシステムの出来不出来(品質)が左右されると思っています。
短い時間でのお話でしたが、H様が初めて配属されたIT部門において、短期間で基幹システムの立ち上げに成功されたのは、H様のリーダーシップや厚い人望はもちろんですが、一番のポイントはベンターとのコミュニケーションを大切にしたことだと感じました。
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